日本人の死因第一は「癌」です。部位別での死亡率をみても「胃がん」は上位を占めています。胃がんは、胃カメラ検査で治療が可能となる早期の状態では症状(胃痛や胃の違和感)を感じないため、早期発見が遅れる事で進行癌へ成長させてしまい、総合病院で緊急手術となる場合もあります。
胃カメラ検査は「痛い」「辛い」といったネガティブなイメージを持っている方も多いですが、以前と比べて内視鏡スコープは細くなった事もありスコープ挿入時の違和感は減っております。また、スコープが細くなった事で鼻からも胃カメラ検査を行なう事が出来るようになったり、鎮静薬(眠くなる薬)を使う事で眠ってあっという間に胃カメラ検査を受けられるようになり、今では「苦痛の少ない胃カメラ検査」が主流となっております。
食道やお腹の症状でお悩みの方、ピロリ菌に感染していると指摘された事がある方は一度、胃カメラ検査を受けて頂きたく思います。
胃カメラ検査が胃がんの早期発見に有効
食道や胃は体内にあるため、CT検査などの外から照射して観察する検査では観察精度が落ちてしまいますが、胃カメラ検査は体内にスコープを挿入して直接観察することができるので、最も観察精度の高い検査となります。
また、胃カメラ検査時に病変部位が見つかった場合はその場で組織を採取しますので、一度の検査で確定診断も行えるのは胃カメラ検査の特徴です。胃がんは40歳を過ぎた頃から発症リスクが高まると言われています。胃がんの原因となるピロリ菌は、より早い段階で除菌できた方が、その後の胃がん発症リスクを低下させる事ができます。
40歳を過ぎた方は勿論ですが、食道やお腹の症状でお困りの方は、胃カメラ検査を受けて健康状態を把握して下さい。
経口胃カメラ検査
メリット
経口胃カメラ検査では鎮静薬を活用して、眠った状態で検査を受けて頂きます。鎮静薬を活用する事でリラックスした状態となるので検査の質が向上しますし、検査時にスコープの挿入を拒まれる事なく胃カメラを実施する事が出来るので検査スピードが早くなります。(目が覚めた時には胃カメラ検査が終わっています)
特に喉の反射が強い方は鎮痛薬(痛みや反射を抑える薬)を併用する事もあります。
デメリット
胃カメラ検査後は個人差はありますが30~60分前後休憩して頂きます。目が覚めましたら検査結果を説明します。鎮静薬を使って胃カメラ検査を受けられる場合はスケジュールに余裕をもってお越し下さい。
また、鎮静薬を使用するので胃カメラ検査の当日は車やバイク、自転車等の乗り物でのご来院はお控え下さい。
内視鏡スコープが舌を抑えて消化管内に入っていくため、経鼻胃カメラ検査のように検査中に医師や看護師とお話することは出来ません。
経鼻胃カメラ検査
メリット
経口胃カメラ検査では舌の付け根部分にスコープが触れるので、検査中に咽頭反射(「おえっ」と吐き気がする事)を引き起こします。経鼻胃カメラ検査の場合は鼻からスコープを挿入していくのでスコープが舌の付け根には触れる事がありません。そのため、検査中の咽頭反射が生じにくいのが特徴です。
鼻腔が狭く鼻の通りが悪いと判断した場合は経鼻胃カメラ検査は実施出来ません。そのため検査前に内視鏡スコープと同じ大きさのチューブで鼻の通りを確認します。経鼻胃カメラ検査が実施できない場合は経口胃カメラ検査に切り替えます。
上記の特徴以外でも当院では様々な特徴がございます。
詳しくは当院の胃カメラ検査ページも是非ご覧下さい
検査の前日
検査前日は普段のお薬はお飲みいただいて構いませんが、休薬となるお薬もあります。事前に医師へご相談ください。
※血液をサラサラにする薬(抗血栓薬)など一部のお薬は中止となる場合があります
検査前日の夕食は夜9時までに、うどんやおかゆなどの消化の良い物をお召し上がり下さい。また、夜9時以降は水、お茶など構いませんが、色の付いたお飲み物やアルコール類はお控え下さい。
検査当日の朝
胃カメラ検査が始まる1時間前まででしたらお水、お茶やスポーツドリンクなどの透明なお飲み物は飲んで頂いて構いません。
また、検査当日は予約時間となりましたらご来院頂きます。その際に胃カメラ検査の同意書もご記入して頂きます。鎮静薬を使用した胃カメラ検査をご希望される方は、お車やバイクでのご来院はお控え下さい。
検査準備
経口胃カメラ検査(鎮静薬ありの場合)
①鎮静薬の管をとる
⇒腕に針を刺して鎮静薬を投与するルートを確保します
②胃の泡をとるお薬の服用
⇒検査の質を高めるために胃の泡を取り消すお薬を飲んで頂きます
③喉の麻酔
⇒スコープを通していくので、スコープが擦れる喉に麻酔を掛けます
④マウスピースを付ける
⇒検査中にスコープを噛んでしまう方もいらっしゃいますので、マウスピースを付けます
経鼻胃カメラ検査
①胃の泡をとるお薬の服用
⇒検査の質を高めるために胃の泡を取り消すお薬を飲んで頂きます
②鼻の通り良くさせるお薬の点鼻(血管収縮薬)
⇒スコープの通りを良くするために血管収縮薬を鼻の中に点鼻します
③鼻の麻酔
⇒スコープを通していくので、鼻に麻酔を点鼻します
④鼻の通りの確認
⇒スコープと同じ大きさのチューブを鼻に通して、どちらの鼻で検査を実施するか
確認します
検査時
①内視鏡室で仰向けで横になって頂きます
②鎮静薬をご希望の方は検査開始直前に鎮静薬を投与します
③準備が整いましたら胃カメラ検査を開始します。検査に掛かる所要時間は5~10分程度です。
※検査時間は個人差はございます
胃カメラ検査時の注意点
・スコープが消化管粘膜と擦れ、粘膜損傷(出血や穿孔)を起こす事があります ・癌などの病気が疑われる組織があった際はその組織を採取します。その際、多少の出血はしますが、自然に止血されます。
検査後
鎮静薬ありの場合
鎮静薬を活用した場合は鎮静薬の効果が切れるまで休憩して頂きます。効果が切れるまでには個人差はありますが30~40分程度は掛かります。その後診察室で検査中に撮影した画像を見せながら検査結果を説明致します。
鎮静薬なしの場合(経鼻胃カメラ検査の場合)
検査後は診察室に移動して頂き、検査中に撮影した画像を見せながら検査結果を説明致します。
胃カメラ検査時に癌が疑われる部位を発見した際は組織採取(生検)しますが、組織採取を行った場合は結果が分かるまでに時間が掛かります。組織採取をされた方は後日に結果の説明のためにお越し頂く事になります。
検査内容 | 1割負担 | 3割負担 |
---|---|---|
胃カメラ検査のみ | 1,320円 | 3,960円 |
病理組織検査(1臓器につき) | 2,630円 | 7,920円 |
採血検査あり(一般項目) | +690円 | +2,070円 |